寝たきりの方の物の位置ケア|元介護士が伝える大切なこと

身の回りの小さなケア

寝たきりの方や、自分で自由に動くことが難しい方にとって、身の回りにある物の位置はとても大切です。介助する側にとっては少し手を伸ばせば届く距離でも、ご本人にとっては自分ではどうすることもできない距離になることがあります。

ナースコールや時計、ティッシュなど、普段使っている物がいつもの場所にあることは、ご本人の安心にもつながります。私はシーツ交換や離床介助のあとには、必要な物の位置を確認するようにしていましたが、忙しいときには元の場所へ戻し忘れてしまうこともありました。だからこそ、介助が終わったあとに身の回りを見渡し、ご本人が困らない状態になっているか確認することが、大切な小さなケアだと思います。

今回は、私が元介護士として感じた、寝たきりの方の身の回りの物の位置で大切なことについてまとめます。

シーツ交換や離床介助のときは、物の位置を覚えておく

ナースコールは右手側にあるほうが押しやすい方もいれば、左手側でなければ手が届かない方もいます。物を片づけるときは、見た目を整えることだけでなく、ご本人が使いやすい位置になっているかを見ることが大切です。

シーツ交換をするときは、枕元やベッド柵の物を一度動かすことがあります。私は交換前にどこに何が置かれていたかを確認し、一緒に交換する職員にも「ナースコールはこの位置です」と声をかけて覚えてもらうようにしていました。交換後は、ナースコールが手の届く位置にあるか、時計が見えるかまで確認します。離床や帰室の介助でも同じで、移動の途中で物が遠くへ置かれてしまうことがあるため、そのつど確認していました。それでも戻し忘れてしまうことはあり、責めるのではなく、最後にもう一度確認する習慣をつくることが大切だと感じています。

時計などが本人から見えるか確認する

時計やカレンダーは、介助する側から見える位置にあっても、寝ている方からは見えないことがあります。私は置くときにご本人の目線から見えるか確認し、話せる方には「この位置で大丈夫ですか」と聞くこともありました。時間が分からない状態は、不安につながることがあります。

すべてを手の届く場所に置くわけではない

必要な物を使いやすい場所に置くことは大切ですが、何でも手の届く場所に置けばよいわけではありません。私が働いていたところでは、水分は基本的に自室へ置かず、希望があったときに提供していました。誤嚥の危険がある方や、水分量の調整が必要な方もいるためです。ご家族が良かれと思って渡した飲み物が、誤嚥や体調悪化につながることもあります。物を身近に置くことと、安全を守ることの両方を考え、その方の状態に合わせることが必要です。

家族が気づいたときはスタッフに相談してみる

面会のときに、ナースコールが遠い、時計が見えにくいなど、気になることがあるかもしれません。そのようなときは、スタッフに声をかけてみてください。

「ナースコールの位置が気になるので、確認してもらえますか」

このように伝えると、現場にも届きやすいと思います。ご家族が気づいたことは、本人が安心して過ごすための大切な情報になると思います。

まとめ|物の位置を整えることは、安心につながる小さなケア

ナースコールや時計など、身の回りの物には、ご本人にとって使いやすい位置があります。介助のあとは元の位置に戻し、実際に手が届くか、見えるかを確認することが大切です。一方で、誤嚥や病状への配慮から、あえて手元へ置かない場合もあります。

物を使いやすい場所へ戻すことは小さなことに見えますが、自分で動くことが難しい方にとっては、安心して過ごし、必要なときに助けを求めるための大切な小さなケアです。


第15回 寝たきりの方の物の位置ケア|元介護士が伝える大切なこと

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