寝たきりの方の中には、自分で布団をかけ直したり、服を調整したりすることが難しい方がいます。暑い、寒いと感じていても、言葉で伝えることが難しい方もいます。
そのため、介護する側が表情や顔色、汗、手足の冷たさなどを見ながら、暑さや寒さに気づくことが大切だと感じていました。部屋の温度だけでなく、本人の体調、病状、布団、服、空調の状態などによって感じ方は変わります。
今回は、私が元介護士として感じた、寝たきりの方の暑さ・寒さに気づく小さなケアについてまとめます。
暑いとき・寒いとき、それぞれ見ていたサイン
暑さを確認するときは、まず顔色や体温、身体の熱感を見ていました。顔が赤くなっていないか、汗をかいていないか、呼吸がいつもより少し早くなっていないか。手が動く方の場合、自分で服をずらしていたり、掛け物をよけようとして服や布団が乱れていたりすることもありました。私の経験上の感覚ですが、暑いときは少しイライラしているように見える方もいたように思います。
寒さを確認するときは、顔色や口唇、指先の色を見ていました。身体が冷えていないか、悪寒や震えのような様子はないか。寒さを我慢しているような表情に見える方もいました。ただし、手が冷たいからといって必ず寒いとは限らず、病状のひとつとして循環が悪くなり手先が冷たくなる方もいます。手の冷たさだけで判断せず、顔色、体温、表情、全身状態などを合わせて見ることが大切だと感じていました。
気になるときは、バイタルや全身状態も確認していた
暑そう、寒そうと感じたときは、掛け物や空調を調整するだけでなく、必要に応じてバイタル測定もしていました。体温や血圧、脈拍、呼吸状態などを確認し、いつもと違う様子がないかを見ていました。
バイタルに異常がある場合は、単なる暑さ寒さではなく、体調の変化が関係していることもあるため、看護師さんへ報告し、状態に合わせた対応が必要になります。異常がない場合でも、掛け物や空調を調整して様子を見て、それでも改善しないときは、冷やす対応や保温の追加、発汗が多いときは清拭や着替えをすることもありました。暑さや寒さへの対応は、ただ布団をかける、外すだけではないと感じています。
同じ部屋の方がいると、思うように調整できないこともある
施設や病院では、個室だけでなく4人部屋など複数の方が同じ部屋で過ごすこともあります。その場合、空調を一人ひとりにぴったり合わせることが難しいことがあります。たとえば、同じ部屋の方が発熱された場合、室温や空調を調整することもあります。
私が勤めていたところでも、ご家族から「手が冷たい」「部屋が寒い気がする」と言われたことがありました。そのようなときは、なぜその状態になっているのかを説明するようにしていました。必要な対応として行っている場合もあれば、対応が不十分だった場合は謝罪し、問題として共有して改善につなげるようにしていました。
布団は、あえて部分的にかけていることもある
掛け物で調整するときは、必ずしも身体全体にかけるとは限りません。肩まわりは暑そうだけれど足元は冷えやすい、体幹は熱がこもりやすいけれど足先は冷たい。そのようなこともあるため、状態によっては腰から下だけにかけるなど、その方の状態に合わせて部分的に調整することもありました。
ご家族から見ると「布団がちゃんとかかっていない」と見えることもあるかもしれません。でも、本人の体調や暑さ寒さのバランスを見ながら、あえてそのように調整している場合もあります。もちろん、単純に布団がずれてしまっていることもあるので、気になる場合はスタッフに確認してみると安心だと思います。
気になったら、理由を聞いてみてください
面会のときに、手が冷たい、汗をかいている、布団がずれている、部屋が寒い気がするなど、気になることがあるかもしれません。そのようなときは、スタッフに声をかけてみてください。
「手が冷たいように感じるのですが、寒くないか見てもらえますか」
「部屋が少し寒いように感じるのですが、理由がありますか」
このように聞いてもらえると、スタッフも説明や確認がしやすいと思います。必要な対応として行っていることなら、その理由を説明できると思いますし、もし対応不足につながっていることであれば、謝罪し、改善につなげる必要があります。
まとめ|暑さ・寒さに気づくことも、気持ちよく過ごすための小さなケア
寝たきりの方は、自分で暑さや寒さを調整することが難しい場合があります。暑い、寒いと感じていても、言葉で伝えられない方もいるからこそ、顔色、体温、汗、呼吸状態、表情、掛け物の状態などを見ながら気づくことが大切だと感じています。
手が冷たいから寒いとは限りませんし、布団が全身にかかっていないから対応不足とは限らないこともあります。ただ、実際に対応が足りていない場合もあるため、気になることがあるときは、スタッフに声をかけてみてください。
第9回 寝たきりの方の暑さ・寒さケア|元介護士が伝える大切なこと

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