寝たきりの方の耳まわりケア|元介護士が伝える大切なこと

身の回りの小さなケア

耳や耳のまわりは、顔や手に比べると見落とされやすい場所です。寝たきりの方は、耳が折れたままになっていたり、耳の裏側が頭にくっついた状態になっていたりすることがあります。見えにくく、汚れや湿りがあっても気づきにくい場所だからこそ、完璧を目指すより、気づいたときにできるケアにつなげることが大切です。

今回は、私が元介護士として感じた、寝たきりの方の耳まわりのケアで大切なことについてまとめます。

耳まわりはケアが行き届きにくい

食事や排泄、入浴、口腔ケアなど日常のケアが多い中で、耳の裏側まで毎回確認することは簡単ではありません。耳は髪や枕に隠れやすく、正面から顔を見ただけでは状態が分かりにくいためです。

耳が頭にくっついた状態が続くと、蒸れたり赤くなったり、ただれたりすることがあります。耳まわりは、ケアをしていないから汚れるというより、確認する機会をつくりにくい場所なのだと思います。

耳の位置を整える

耳が折れたまま頭の下に入り込んでいると、圧がかかって皮膚が赤くなることがあります。私は体位や枕の位置を直すときに、耳が折れていないか確認し、頭の下に入り込んでいたときは、無理に引っ張らず頭の位置を少し調整しながら自然な位置に戻していました。ご本人が自分では直せない小さな部分だからこそ、目を向けることが大切です。

耳の裏側は、拭ける機会に確認していた

耳の裏側には汗や皮脂がたまり、密着している方は湿りが続いて赤みやただれにつながることもあります。汚れに気づいたときはやさしく拭き、一度で全部きれいにしようとせず、取れる範囲で対応していました。入浴のときは耳が見えやすくなるので、洗いながら状態を確認する良い機会でもあります。ただし耳の中まで無理にきれいにしようとすると傷つけてしまうことがあるため、自分たちで対応できる範囲かどうかを見極めることも大切です。

耳あかや耳だれは、看護師に伝えるようにしていた

自分で耳かきができない方は、耳あかが少しずつたまっていくことがあります。耳の中は見えにくく傷つきやすいため、無理に取ろうとせず、耳だれやただれに気づいたときも、量や色、においなど気づいたことを看護師に伝えるようにしていました。無理をせず専門職に伝えることも、ご本人を守るためのケアのひとつです。

いつもきれいに保つことは難しい

「こまめに確認しましょう」と言うのは簡単ですが、実際の現場では、すべての方の耳を毎日細かく確認することは難しいのが正直なところです。ご家族が自宅で介護している場合も同じだと思います。耳の汚れがあったとしても、それだけで誰かのケアが足りなかったと責められるものではありません。大切なのは、気づいたときにそのままにせず、できる範囲で対応したり、専門職に伝えたりすることです。

家族が気づいたときはスタッフに相談してみる

面会のときに耳の汚れやただれが気になったら、「耳のまわりが気になるので、確認してもらえますか」とスタッフに声をかけてみてください。見えにくい場所だからこそ、ご家族が気づいたことが大切な情報になることがあります。

まとめ|耳まわりのケアは、気づいたときにできる範囲で

耳は髪や枕に隠れて気づきにくく、折れた状態やくっついた状態が続くと赤みやただれにつながることがあります。拭く、体位を整えるときに位置を確認する、入浴時に見る。そして対応が難しいときは専門職に伝える。完璧を求めるのではなく、気づいたときにできる対応をすることが、本人の負担を少なくする小さなケアになります。


第14回 寝たきりの方の耳まわりケア|元介護士が伝える大切なこと

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