寝たきりの方のにおいケア|元介護士が伝える大切なこと

身の回りの小さなケア

寝たきりの方や、自分で身の回りを整えることが難しい方は、においが気になっていても、自分で対応できないことがあります。また、不快に感じていても、言葉でうまく伝えられるとは限りません。

排泄物や口元、手足などから感じるにおいは、清潔を保つためだけでなく、ご本人の不快感や体の変化に気づくきっかけになることがあります。私は介助をするとき、においをただ消すのではなく、どこから来ているのかを考え、できる範囲で原因に合わせたケアをするようにしていました。

今回は、私が元介護士として感じた、寝たきりの方のにおいに気づく小さなケアで大切なことについてまとめます。

排泄物のにおいに気づいたときは、まずおむつを確認していた

排泄物のにおいがしたときは、気づいた時点でおむつの状態を確認し、できるだけ早く交換するようにしていました。おむつが汚れたままの状態はご本人にとって気持ちのよいものではなく、湿った状態が続くことで皮膚への負担につながることもあります。

すぐに自分が対応できないときは、ほかの職員に声をかけ、交換をお願いすることもありました。忙しい時間帯には、一人ですべてに対応することはできません。そのようなときに周りに助けてもらうことも、ご本人の不快な時間を少しでも短くするために必要なことでした。

口元や手足からのにおいは、ケアのきっかけにしていた

口元からにおいを感じたときは、口腔ケアを行っていました。口の中には食べ物のかすや痰などが残っていることがあり、しっかりと歯みがきをする時間が取れないときには、歯みがき用のティッシュなどを使って拭き取ることもありました。においを感じたときは、口の中が乾燥していないか、汚れが残っていないかを見るきっかけにもなっていました。

手や足からにおいを感じることもありました。寝たきりの方は、手を握った状態が続いていたり、足が蒸れやすかったりすることがあるため、そのようなときには手浴や足浴を行って、汚れや汗を落とすこともありました。お湯で手足を温めながら洗うと、清潔になるだけでなく、ご本人の表情がやわらぐこともあります。ただにおいを取り除くのではなく、手のひらや指の間、足の指の間などに汚れや皮膚の変化がないかを確認する時間にもなっていました。

換気は、ご本人の体調を見ながら行っていた

部屋に入ったときに空気がこもっていると感じた場合は、窓を開けて換気するようにしていました。ケアを始めるときに窓を開け、部屋を出るときに閉めるだけでも、空気を入れ替えることができます。

ただし、換気をすることだけに気を取られると、ご本人が寒い思いをすることがあります。寒い時期には、掛け物が体にしっかりかかっているかを確認し、「窓を開けるので、少し寒くなりますよ」と声をかけてから窓を開けるようにしていました。自分で寒さを伝えることが難しい方もいるため、空気を入れ替えるときも、ご本人の体調や表情を見ながら行うことが大切だと感じています。

消臭スプレーだけで済ませないようにしていた

おむつ交換のあとなど、必要なときには消臭スプレーを使うこともありました。私が勤めていたところでは、周囲の方への配慮や接遇の面から使用することがありました。

ただし、消臭スプレーはにおいを一時的に目立たなくするものであり、汚れそのものを取り除くものではありません。排泄物のにおいであればおむつの状態を確認し、口元であれば口腔内を確認するなど、まずはにおいの原因に合わせて対応することが大切です。消臭スプレーは、必要なケアを行ったあとに補助的に使うものだと考えていました。香りを強く感じる方もいるため、ご本人の様子を見ながら使用することも必要です。

においについて、本人の前で話さないよう気をつけていた

排泄物や口元などのにおいに気づいたとしても、ご本人の前で「くさい」と言ったり、嫌そうな表情を見せたりしない配慮も大切です。介助する側に悪気がなくても、その言葉や表情によって、ご本人が恥ずかしい思いをすることがあります。

自分ではどうすることもできない状態で、人に身の回りのケアを任せることには、不安や申し訳なさを感じる方もいるかもしれません。においに気づいたときは、本人を責めるのではなく、「きれいにしましょうね」「さっぱりしましょうか」などと声をかけ、いつもと同じように対応することを意識していました。

家族が気づいたときはスタッフに相談してみる

面会のときに、においが気になることがあるかもしれません。そのようなときは、スタッフに声をかけてみてください。

「においが少し気になるので、確認してもらえますか」

このように伝えると、現場にも届きやすいと思います。

においは、おむつの状態や口腔内、換気など、さまざまな原因が関係していることがあります。ご家族が気づいたことは、現場を責めるためではなく、本人が少しでも気持ちよく過ごすための大切な情報になると思います。

まとめ|においに気づくことも、気持ちよく過ごすための小さなケア

排泄物や口元、手足、部屋の空気など、においを感じる場所にはさまざまな原因があります。においをただ消すのではなく、どこから来ているのかを確認し、原因に合わせたケアを行うことが大切です。すぐに自分で対応できないときには、周りの人に助けてもらうことも、ご本人の不快な時間を短くすることにつながります。

そして、換気や消臭をするときにも、寒さや香りへの感じ方に配慮し、ご本人の前でにおいについて不用意に話さないことが必要です。いつもと違うにおいに気づくことは、汚れだけでなく、ご本人が言葉にできない不快感や体の変化に目を向ける小さなケアのひとつです。


第13回 寝たきりの方のにおいケア|元介護士が伝える大切なこと

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