寝たきりの方や、言葉で返事をすることが難しい方と関わるとき、声かけや触れ方はとても大切だと感じていました。反応が少ない方でも、何も感じていないわけではないと思っていました。
声をかけること。顔を見ながら触れること。表情や呼吸の変化を見ること。そうした小さな関わりの中で、その人らしさが見えてくることがあります。
今回は、私が元介護士として感じた、寝たきりの方への声かけや触れ方で大切なことについてまとめます。
声をかけながら、小さな反応を見ていた
「顔を拭きますね」「痛くないですか」。そんなふうに声をかけながら、表情や呼吸、身体のこわばりなどを見るようにしていました。
反応が大きく返ってくる方ばかりではありません。言葉で返事ができない方も、目を開けることが難しい方もいます。それでも、声をかけたときに鼻息が少し変わること、口元が少し動くこと、身体の力が少し抜けること。ほんの小さな変化でも、反応してくれていると感じることがありました。
もちろん、それが本当に反応なのかどうかは、私の受け取り方だったところもあります。毎回同じ反応があるわけでもありません。それでも、反応が少ないからといって、何も感じていないとは思いたくありませんでした。小さな反応を見つけることは、その人のことを知ることにもつながると感じていました。
見つけた反応は、スタッフと分かち合っていた
その人の小さな反応に気づいたときは、まわりのスタッフとも共有していました。「この声かけをすると、少し反応がある気がする」「この触れ方だと、表情がやわらぐ気がする」。そんなふうに伝えることもありました。
すると、「その反応あるよね」「今度やってみる」と返ってくることもあり、自分が見つけたその人の様子を、ほかのスタッフにも知ってもらえることがうれしかったです。反応が少ない方でも、その人らしさがなくなるわけではありません。小さな反応を共有することで、スタッフみんなでその人を知っていけるような気がしていました。
触れる前には、必ず一声かけていた
顔を見ながらほっぺにそっと触れること。肩をさすること。手をそっと握ること。身体を動かす前に、これから何をするのか伝えること。私の場合、いきなり触れるのではなく、声をかけてから触れることをセットにしていました。
反応が少ない方でも、急に触れられるとびっくりすることがあると思います。だからこそ、声をかけてから触れることを大切にしていました。触れ方ひとつで、安心感も変わってくるように感じます。
反応があってもなくても、大切に関わりたいと思っていた
反応がある方も、反応が少ない方も、その方なりの表情や反応があると感じていました。返ってくることもあれば、返ってこないこともあります。それでも、反応がないからといって声かけをやめることはありませんでした。
話せなくても、耳は聞こえていると言われることがあります。届いているかもしれない、聞こえているかもしれない。そう思いながら関わっていました。言葉で伝えられないことがあっても、大切に扱われたい気持ちはあるはずだと思うからこそ、反応があってもなくても、一人ひとりに向き合いたいと感じていました。
現場を離れた今だからこそ、あのときの小さな関わりの大切さを、改めて感じています。忙しさの中では気づききれなかったこともありますが、その経験が、今介護に関わっている方やご家族の参考になれば嬉しいです。
まとめ|声かけや触れ方も、小さなケアのひとつ
声かけや触れ方は、特別な道具が必要なケアではありません。でも、寝たきりの方や反応が少ない方にとっては、大切な関わりのひとつだと感じています。
声をかけること。表情を見ること。小さな反応に気づくこと。声をかけてから触れること。その人の反応をスタッフと共有すること。そうした小さな積み重ねが、その人を大切に扱うことにつながると思います。
反応が少なくても、何も感じていないわけではないかもしれません。届いているかもしれない、聞こえているかもしれない。そう思いながら関わることで、見えてくるものがあると感じています。
第7回 寝たきりの方への声かけ・触れ方|元介護士が伝える大切なこと

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