寝たきりの方の手のひら・指の間ケア|元介護士が伝える大切なこと

身の回りの小さなケア

寝たきりの方の手元を見るとき、爪の長さには気づきやすいと思います。でも、手のひらや指の間までは、外から見えにくいことがあります。

特に拘縮がある方は、指先まで硬くなり、手を開いたままの方もいれば、ぎゅっと握りしめるような形になる方もいます。そのような状態では、手のひらや指の間に汗や汚れがたまりやすくなります。

今回は、私が元介護士として感じた、寝たきりの方の手のひら・指の間のケアで大切なことについてまとめます。

拘縮があると、汗や汚れがたまりやすい

指と指の間が密着したままになると、汗や汚れがたまりやすくなります。そのままケアが十分にできない状態が続くと、発赤やただれにつながることもありました。爪が皮膚に当たってしまうこともあります。

皮膚が弱い方や、全身状態があまり良くない方の場合は、悪化すると潰瘍や褥瘡のようになってしまうことも見てきました。

手を握りしめた状態が続くと湿気や汚れがたまり、だんだんとにおいが強くなってくることもあります。面会のときに手を握った際、においが気になって不安になるご家族もいるかもしれません。手のひらや指の間は、外から見えにくい場所ですが、日頃からこまめに見ておきたいところです。

無理に開こうとすると、痛みや傷につながることがある

拘縮がある方の手は、簡単に開けるとは限りません。指が硬くなっていたり、力が入っていたりすると、手のひらを開くだけでも痛みにつながることがあります。皮膚が弱い方の場合は、少し引っ張っただけでも皮膚めくれや傷につながることもあります。

本人が言葉で痛みを伝えられない場合でも、表情や身体のこわばり、手を引こうとする動きなどで反応が出ることがあります。手のひらや指の間を見るときは、無理に開こうとせず、声をかけながら少しずつ確認することが大切だと感じています。

私がしていた手浴のケア

手のひらや指の間のにおい、発赤、ただれなどが気になる方には、手浴をすることがありました。洗面器にお湯をはり、手をつけて少し時間をおいたあと、ボディソープを少しだけ使ってやさしく洗っていきます。

拘縮がある方の場合は、無理に手を開こうとせず、痛みがないか、皮膚が傷つかないかを見ながら少しずつ行います。洗ったあとは水分をしっかり拭き取ります。指の間に水分が残ると、皮膚がふやけたり、ただれにつながったりすることがあるためです。水分を拭き取ったあとは、必要に応じて保湿剤を塗っていました。

手浴をするだけでも、においや皮膚の状態が変わってくることがありました。

手のケアも、その人を大切に扱うことにつながる

手は、人と触れ合う場所でもあります。面会のときに手が清潔に保たれていると、ご家族も安心するのではないでしょうか。

自分で手を洗ったり、指の間を拭いたりできるときは、当たり前のようにしていたことかもしれません。でも、寝たきりになったり、手を開くことが難しくなったりすると、誰かにしてもらうしかありません。だからこそ、手のひらや指の間をきれいにすることも、その人を大切に扱うことにつながると感じています。

日々のケアには優先順位があり、手のひらのケアは後回しにされがちです。食事や排泄、入浴や移乗の介助に追われるなか、ナースコールの対応も重なります。特に拘縮がある方の手のケアは時間もかかるため、後回しになってしまうこともありました。現場を責めたいわけではありませんが、本人の皮膚を守るためにも大切なケアであることは伝えたいと思っています。

気づいたときは、まずスタッフに相談を

面会のときに手のひらや指の間のにおいが気になったら、スタッフの方に声をかけてみても良いと思います。

「手のにおいが少し気になるので、時間があるときに見てもらえたら助かります」

このように伝えると、現場にも届きやすいと思います。

手のひらや指の間は、拘縮がある方ほど開きにくい場所です。無理に開こうとすると、痛みや皮膚めくれにつながることがあります。ご家族がきれいにしてあげたいと思ったときも、自己判断で無理に手を開くのではなく、まずはスタッフの方に相談してから、確認やケアをお願いするようにしていただくと安心です。

ご家族が気づいたことは、現場を責めるためではなく、本人が少しでも気持ちよく過ごすための大切な情報になると思います。

まとめ|手のひら・指の間のケアは、皮膚を守るためにも大切

手のひらや指の間は、外から見えにくい場所です。でも、拘縮などで指と指の間が密着していると、汗や汚れがたまりやすく、においや発赤、ただれにつながることもあります。皮膚が弱い方や全身状態があまり良くない方の場合は、傷や褥瘡につながることもあるため注意が必要です。

手浴をして、やさしく洗い、水分をしっかり拭き取り、必要に応じて保湿をする。そうした小さなケアでも、においや皮膚の状態が変わることがあります。

気になったときは、無理に自分で手を開こうとせず、スタッフの方に相談してみてください。

「小さな身の回りのケア」シリーズ
第5回 寝たきりの方の手のひら・指の間ケア|元介護士が伝える大切なこと

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