介護が必要になると、服選びでは着替えやすさが優先されることがあります。
前開きの服。伸縮性のある服。やわらかい生地の服。本人の身体への負担を少なくするためには、介護しやすい服を選ぶことも大切です。
ただ、ご家族の中には「本人が好きだった色や柄も取り入れてあげたい」と思う方もいるかもしれません。介護される方の身体の状態がそれぞれ違うように(こちらの記事でも書きました)、大切にしたい「その人らしさ」も一人ひとり違うと思います。介護しやすさを考えながら、その人らしさも少し残せたらいいですよね。
今回は、私が元介護士として感じた、介護しやすい服でも本人らしさを大切にしたい理由についてまとめます。
介護しやすさを優先すると、本人らしさが薄れることもある
介護が必要な方の服は、着替えやすさが優先されることがあります。もちろん、着替えやすさや身体への負担の少なさはとても大切です。寝たきりの方や、身体を動かしにくい方の場合、服の形や生地によっては、着替えのときに痛みや負担につながることがあります。そのため、介護しやすい服を選ぶことは、本人のためにも大切だと感じています。
ただ、着替えやすさを優先すると、どうしても服の選択肢が限られることもあります。ご家族であれば、その人が好きだった色や柄を取り入れてあげたいと思うこともありますよね。そんなときは、着替えの負担にならない形で、少しだけ本人らしさを取り入れてみてもいいのではないかと思います。
反応が少なくても、その人らしさを感じられることがある
寝たきりの方の中には、病状などにより反応が少ない方もいらっしゃいます。声をかけても言葉で返事ができない方。表情の変化が少ない方。目を開けることが難しい方。そのような方もいます。
でも、反応が少ないように見えても、何かしら小さな変化が見られることもありました。私が経験した中では、言葉は話せないけれど、声をかけると鼻息に変化がある方がいました。また、呼吸などに大きな変化はなくても、声をかけることを続けていくうちに、閉じていた口を小さく開けるような反応が見られる方もいました。
もちろん、本人の好きな色や柄を生活の中に取り入れたからといって、必ず反応が変わるわけではありません。それでも、本人が好きだった色や柄がそばにあることで、ご家族にとっては「その人らしさ」を感じられることがあると思います。
介護が必要になっても、その人が好きだったものまでなくなってしまうわけではありません。好きな色や柄を無理のない範囲で取り入れるだけでも、本人らしさを少し残せるのではないかと感じています。
服以外で本人らしさを残す方法もある
本人がよく着ていた色や柄のパジャマや浴衣があれば、それを取り入れられるといいですよね。ただ、好きだった柄や色の服が、介護しやすい形で見つかるとは限りません。たとえば、ヒョウ柄が好きだった方の場合、ヒョウ柄の浴衣やパジャマを探すのは、少し難しいかもしれません。
そのようなときは、服だけにこだわらず、着替えの負担にならない小物で取り入れる方法もあります。寝たきりの方でも、タオルケットやひざ掛けを使うことがあります。好きだった柄や色のタオルケット、ひざ掛け、靴下などで取り入れることもできます。
服そのものではなくても、本人が好きだったものに近い色や柄がそばにあるだけで、その人らしさを感じられることがあると思います。ご家族にとっても、「この色が好きだったな」「こういう柄をよく選んでいたな」と思い出せるきっかけになるかもしれません。本人の身体への負担を少なくしながら、その人らしさを残す方法は、服以外にもあると感じています。
無理におしゃれを優先しなくてもいい
本人の好きだった色や柄を取り入れることは、とても素敵なことだと思います。ただ、無理におしゃれを優先しなくてもいいと思っています。
色や柄が本人らしくても、着替えにくい服であれば、本人の負担につながることがあります。生地が硬い服。伸縮性が少ない服。頭からかぶる服。袖口が細い服。身体の状態によっては、そのような服が着替えにくさや痛みにつながることもあります。
本人の好きだったものを取り入れるときは、これまでの記事(買う前の確認ポイントでもまとめています)で書いてきたように、前開きかどうか、伸縮性があるか、生地がやわらかいか、袖口にゆとりがあるかなども見てもらえると安心です。本人らしさを大切にすることと、本人の身体に負担をかけないこと。どちらも大切だと思います。本人にやさしく、本人らしさも感じられる服や小物が見つかるといいですね。
まとめ|介護しやすさと本人らしさの両方を少しずつ考える
介護が必要になったからといって、その人らしさがなくなるわけではありません。でも、身体の状態によっては、今まで好きだった服をそのまま着ることが難しくなることもあります。それは、ご家族にとって少しさみしいことかもしれません。
だからこそ、無理のない形で、本人が好きだった色や柄を取り入れてみてもいいのではないかと思います。パジャマや浴衣で取り入れる。タオルケットやひざ掛けで取り入れる。靴下など、身体の負担になりにくい小物で取り入れる。方法はいろいろあると思います。
たとえ反応が少なくても、本人が好きだったものを大切にしたいと思うご家族の気持ちは、とても自然なものだと思います。介護しやすさと本人らしさ。どちらか一方だけではなく、本人の身体の状態に合わせながら、少しずつ考えていけたらいいのではないかと感じています。
この記事が、介護が必要な方の服や小物に「その人らしさ」を取り入れたい方の参考になれば嬉しいです。
「介護しやすい服」シリーズ
第19記事 元介護士が感じた、介護しやすい服でも本人らしさを大切にしたい理由

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