介護職が感じた「一人ひとりに合う服は違う」ということ

介護職から見た服選び

これまでの記事では、介護しやすい服について、伸縮性や前開き、ゆとり、袖の通しやすさなどを書いてきました。

また、皮膚めくれや服のシワ、保湿についても、介護職として感じてきたことをまとめてきました。

ただ、介護される方の身体の状態は一人ひとり違います。

そのため、すべての方に同じ服が合うわけではないと感じています。

今回は、私が介護職として感じた「一人ひとりに合う服は違う」ということについてまとめます。

介護される方の身体の状態は一人ひとり違う

介護される方の身体の状態は、一人ひとり違います。

寝たきりの方といっても、みんな同じ状態ではありません。

拘縮がある方。

麻痺がある方。

力が入りにくい方。

痛みがある方。

皮膚が弱く、少しの刺激でも赤みや傷ができやすい方。

同じように寝たきりに見えても、身体の動かしやすさや痛みの出やすさ、皮膚の状態はそれぞれ違います。

そのため、介護しやすい服も一人ひとり違うと感じています。

ある方には着替えやすい服でも、別の方には着替えにくい服になることがあります。

だからこそ、服を選ぶときは「介護しやすい服」として紹介されているものをそのまま選ぶだけでなく、その方の身体の状態に合っているかを見ることが大切だと思います。

拘縮がある方は、無理に腕や足を動かせない

拘縮がある方は、腕や足を無理に動かすことができません。

着替えのときに、袖を通したり、ズボンを通したりするだけでも時間がかかることがあります。

そのような方の場合、伸縮性のある服や、ゆとりのある服、前開きの服は介助しやすいと感じることが多くありました。

袖口にゆとりがある服も、腕を通すときの負担を少なくしやすいと感じていました。

ただ、拘縮がある場所や角度は人によって違います。

腕が動かしにくい方もいれば、足が動かしにくい方もいます。

肘が曲がったままの方、手首が曲がっている方、膝が伸びにくい方など、身体の状態はさまざまです。

そのため、同じ「ゆとりのある服」でも、その方にとって本当に着替えやすいかどうかは違ってきます。

拘縮がある方の服を選ぶときは、どこが動かしにくいのか、どの動きで痛みや負担が出やすいのかを見ることが大切だと感じています。

麻痺や力が入りにくい方は、支えながら着替えることがある

麻痺がある方や、身体に力が入りにくい方は、着替えのときに身体を支えながら介助することがあります。

身体が傾きやすかったり、腕や足の位置を保つことが難しかったりする方もいます。

介助する側は、本人の身体を支えながら、服を通していきます。

そのような場合、生地が硬かったり、厚くて重かったり、伸びにくかったりすると、着替えの介助がしにくいことがあります。

そのため、身体に引っかかりにくく、動きに合わせやすい服は、本人への負担も少なく介助しやすいと感じていました。

ただ、麻痺がある方でも、できる動きが残っている方もいます。

少し腕を動かせる方。

片側だけなら動かせる方。

声かけをすると、自分で少し協力できる方。

そのような場合は、すべてを介助するのではなく、本人ができる動きをなるべく活かしながら着替えることも大切だと感じていました。

介護しやすい服は、介助する側が着せやすいだけではなく、本人ができることを邪魔しない服でもあると思います。

痛みがある方は、服を着る動きそのものが負担になることがある

身体に痛みがある方は、服を着る動きそのものが負担になることがあります。

少し腕を動かすだけで痛みが出る方もいます。

身体の向きを変えるだけで、表情がこわばる方もいます。

そのような方にとって、着替えは大きな負担になることがあります。

服が伸びにくかったり、身体にぴったりしすぎていたりすると、着替えのときに痛みが出やすくなることがあります。

前開きの服や伸縮性のある服、ゆとりのある服は、身体への負担を少なくしながら着替えやすいことがあります。

ただ、痛みの場所や強さも人によって違います。

肩が痛い方。

腰が痛い方。

膝が痛い方。

身体に触れられるだけでも痛みを感じる方。

その方の痛みの出やすい場所に合わせて、服の形や素材を考えることが大切だと感じています。

服選びに「これが正解」と言い切るのは難しい

これまで、介護しやすい服についていろいろ書いてきました。

伸縮性のある服は、生地が伸びる分、着替えの介助がしやすいです。

寝たきりの方の場合、前開きの服は、頭からかぶる服に比べて体への負担が少ないと感じています。

ゆとりのある服は、袖を通したり、身体を動かしたりするときの負担を少なくしやすいです。

袖口が広めの服は、介助者の手も入りやすく、袖を通しやすいと感じます。

でも、だからといって「この服がすべての方に正解」とは言い切れません。

寝たきりの方には前開きの服をおすすめしたいと感じていますが、それでも身体の状態によって、必要なゆとりや袖口の広さ、素材のやわらかさは変わってきます。

ゆとりのある服が必要な方もいれば、大きすぎる服だとシワができやすく、かえって皮膚への負担が気になる方もいます。

介護しやすい服は、ひとつの形に決められるものではないと思っています。

その方の身体の状態や生活の様子に合わせて考えることが大切だと感じています。

介護しやすい服は、本人に合っていることが大切

介護しやすい服というと、介助する側が着せやすい服を想像するかもしれません。

もちろん、介助しやすいことは大切です。

着替えに時間がかかりすぎると、介護される本人にも負担がかかることがあります。

寒さを感じたり、痛みが出たり、皮膚に負担がかかったりすることもあります。

だからこそ、介助する側が着替えやすい服を選ぶことは、本人の負担を少なくすることにもつながります。

でも、それだけではなく、本人に合っていることも大切です。

着ているときに苦しくないこと。

皮膚に負担がかかりにくいこと。

シワやよれができにくいこと。

着たあとも整えやすいこと。

本人ができる動きを邪魔しないこと。

介護される本人に合っている服は、結果的に介護しやすい服にもつながると思います。

まとめ|一人ひとりに合う服を考えることが大切

介護される方の身体の状態は、一人ひとり違います。

拘縮がある方、麻痺がある方、痛みがある方、皮膚が弱い方など、同じ寝たきりの方でも状態はさまざまです。

そのため、介護しやすい服も一人ひとり違うと感じています。

伸縮性のある服。

前開きの服。

ゆとりのある服。

袖が通しやすい服。

シワができにくく、整えやすい服。

これまで書いてきたことは、服選びのひとつの目安になると思います。

でも、どれかひとつが絶対の正解というわけではありません。

その方の身体の状態や生活に合わせて、負担が少ない服を考えていくことが大切だと思います。

このシリーズが、介護しやすい服を考えるときのひとつの参考になったら嬉しいです。

「介護しやすい服」シリーズ
第10回:介護職が感じた「一人ひとりに合う服は違う」ということ

「介護しやすい服」シリーズ

第1回:介護職だった私が「介護しやすい服」について書こうと思った理由

第2回:介護職が感じた「伸縮性のある服」が大切な理由

第3回:介護職が感じた「前開きの服」がおすすめな理由

第4回:介護職が感じた「ゆとりのある服」がおすすめな理由

第5回:介護職が感じた「頭からかぶる服」が難しい理由

第6回:介護職が感じた、着替え介助で大切な「袖の通しやすさ」

第7回:介護職だった私が「皮膚めくれ」で感じたこと

第8回:介護職が感じた「服のシワ」が気になる理由

第9回:介護職が感じた「保湿」が大切な理由

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