前回の記事では、寝たきりの方や腕が動かしにくい方の着替え介助では、袖の通しやすさが大切だと書きました。
袖が通しにくい服は、介助に時間がかかるだけでなく、本人の皮膚に負担がかかることもあります。
腕を無理に動かすことで、身体への負担が大きくなることもあります。
介護の現場で働いていたとき、私は皮膚めくれを起こしてしまった経験があります。
介護の現場では「皮膚めくれ」と言うこともありましたが、「スキンテア」と呼ばれることもあります。
今でも、そのときの申し訳なかった気持ちは忘れられません。
今回は、私が介護職として経験した「皮膚めくれ」について、そして服選びで少しでも負担を減らせることについてまとめます。
高齢者の皮膚はとても弱くなっていることがある
高齢で寝たきりの方は、栄養状態や年齢的な変化などもあり、皮膚の状態が弱くなっている方が多いと感じていました。
皮膚がたるんでシワになっていたり、乾燥してハリがなく、粉をふいていたりする方もいます。
そのような皮膚の状態だと、少しの刺激でも皮膚めくれや傷になってしまうことがあります。
介助する側が慎重に介助していても、少しの動きで傷ができてしまうこともありました。
高齢者の皮膚は、思っている以上に弱くなっていることがあります。
だからこそ、着替えの介助では、服の素材や形、袖の通しやすさなども大切になると感じています。
私も皮膚めくれを起こしてしまったことがある
私自身、介助中に皮膚めくれを起こしてしまったことが数回あります。
拘縮の強い方の着替え介助中、慎重に介助していたにもかかわらず、手の甲や肘などに皮膚めくれを起こしてしまったことがありました。
皮膚めくれを起こしてしまったときは、とても申し訳なくて、その後しばらく落ち込んでいました。
「もっと衣類にゆとりをもたせて袖を通していたら……」
「他の人が介助していたら、傷がつかなかったんじゃないか……」
そんなふうに考えることもありました。
もちろん、介助するときは傷をつくらないように慎重に介助しています。
それでも現場では、皮膚めくれなどが起きてしまうことがあります。
だからこそ、介助する側はいつも慎重になりますし、服選びも本人の身体の状態に合わせることが大切だと感じています。
皮膚めくれは衣類だけが原因ではない
皮膚めくれは、衣類だけが原因で起きるわけではありません。
介護される方の身体の状態にも大きく影響されると思います。
たとえば、栄養状態、皮膚の状態、乾燥の度合い、拘縮や関節の動きづらさ、寝たきりの状態など、いろいろな要因があります。
皮膚が弱くなっている方の場合、ほんの少しの刺激でも傷につながることがあります。
そのため、「この服だから皮膚めくれが起きた」と簡単に言えるものではないと思っています。
ただ、服選びは皮膚への負担を少なくするための、ひとつの予防として考えることができます。
衣類だけで完全に防げるわけではありませんが、本人の身体に合った服を選ぶことで、着替えのときの負担を減らせることはあると感じています。
服の素材や形で負担を減らせることもある
では、どんな服なら皮膚への負担を少なくしやすいのでしょうか。
私の経験では、やわらかい生地の服、伸縮性のある服、袖口にゆとりがある服は、着替えの介助がしやすいと感じていました。
無理に引っぱらなくても着替えやすい服は、本人の皮膚への負担も少なくしやすいと思います。
反対に、伸びにくい生地や袖口が細い服は、腕を通すときに引っかかりやすく、どうしても慎重になります。
拘縮がある方や腕が動かしにくい方の場合、袖を通すだけでも時間がかかることがあります。
そのときに服にゆとりがなかったり、生地が硬かったりすると、皮膚に引っかかりやすくなることもあります。
だからこそ、介護しやすい服を考えるときは、見た目だけでなく、素材や伸縮性、袖口の広さも見てもらえると良いなと思います。
皮膚めくれを経験して、服選びも大切だと感じた
私は20年以上介護職をしてきましたが、皮膚めくれや傷をつくってしまったことは、なかなか忘れることができません。
自分がしたことで傷をつくってしまったこと。
痛い思いをするのは自分ではなく、介護される本人であること。
そのことが、自分の中で申し訳なさと「もっと気をつけていれば……」という後悔になって残っています。
一度傷をつくってしまった経験があるからこそ、私はより一層慎重に介助するようになりました。
服ひとつにしても、ただ「着替えさせやすい服」ではなく、介護される本人の皮膚を守るための服でもあると感じるようになりました。
着替えやすい服は、介助する側がラクをするためだけのものではありません。
本人の痛みや不快感を少なくするためにも、大切なものだと思っています。
まとめ|皮膚めくれを防ぐために、服選びでできること
皮膚めくれが起きるのには、いろいろな原因があります。
服だけが原因になるわけではありません。
でも、服の素材や形で、着替えのときの負担を少なくできることもあります。
寝たきりの高齢者の方は、皮膚が弱くなっている方も多く、少しの刺激でも傷ができてしまうことがあります。
その人にとって介護しやすい服を考えることは、本人の苦痛をなるべく少なくすることや、皮膚を守ることにもつながると思います。
介護しやすい服は、介助する側だけのための服ではありません。
介護される本人の身体を守るためにも、服選びは大切だと感じています。
「介護しやすい服」シリーズ
第7回:介護職だった私が「皮膚めくれ」で感じたこと
「介護しやすい服シリーズ」
第1回:介護職だった私が「介護しやすい服」について書こうと思った理由


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