元介護士が伝える、介護しやすい服を買う前の確認ポイント

元介護士から見た服選び

介護しやすい服を買おうと思っても、どこを見て選べばいいのか迷うことがあると思います。

介護用品として販売されている服もありますが、市販の服でも本人の身体の状態に合っていれば使いやすいことがあります。

ただ、買ってから「着替えにくかった」「思っていたより生地が硬かった」となると、ご家族にとっても負担になります。だからこそ、買う前にいくつか確認しておくと安心です。

今回は、私が元介護士として感じた、介護しやすい服を買う前の確認ポイントについてまとめます。

まずは本人の今の身体の状態を確認する

介護しやすい服を選ぶときに、まず確認してほしいのは本人の今の身体の状態です。

寝たきりの方といっても、身体の状態は一人ひとり違います。

拘縮がある方。麻痺がある方。力が入りにくい方。痛みがある方。皮膚が弱く、少しの刺激でも赤みや傷ができやすい方。汗をかきやすい方。寒がりの方。

同じように寝たきりに見えても、どんな服が合うかは人によって変わってきます。そのため、服を買う前に「今の本人にとって着替えやすい服かどうか」を考えることが大切だと思います。

以前は問題なく着られていた服でも、身体の状態が変わると着替えにくくなることがあります。まずは、本人の今の身体に合っているかを確認してから選ぶと安心です。

前開きかどうかを確認する

寝たきりの方の服を選ぶときは、前開きかどうかを確認してほしいです。

私の経験では、寝たきりの方には前開きの服をおすすめしたいと感じる場面が多くありました。頭からかぶる服は、着替えのときに身体へ負担がかかりやすいと感じていました。

腕が動かしにくい方や、痛みがある方、拘縮がある方の場合、頭からかぶる服は前開きの服に比べて、皮膚めくれや骨折につながらないよう、より慎重に介助する必要がありました。前開きの服であれば、身体への負担を少なくしながら着替えやすいと感じていました。

もちろん、その方の身体の状態によって合う服は違います。それでも、寝たきりの方の服を選ぶときは、まず前開きかどうかを見てもらえると良いと思います。

生地がやわらかく、伸縮性があるかを見る

服の生地がやわらかいか、伸縮性があるかも大切なポイントです。

生地が硬かったり、厚くて重かったり、伸びにくかったりすると、着替えの介助がしにくいことがあります。寝たきりの方は、自分で腕や足を動かすことが難しい場合があります。そのため、服が身体に引っかかったり、生地が伸びなかったりすると、着替えに時間がかかりやすくなります。

着替えに時間がかかると、本人の痛みや寒さ、皮膚への負担につながることもあります。やわらかく伸縮性のある服は、身体の動きに合わせやすく、着替えの負担を少なくしやすいと感じていました。

買う前には、生地を触れる場合は実際に触って確認してみるのがおすすめです。ネットで買う場合は、素材や伸縮性についての説明を見ておくと安心です。

袖口や身幅にゆとりがあるか確認する

袖口や身幅にゆとりがあるかも確認してほしいポイントです。

袖口が細い服は、介助者の手が入りにくく、袖を通すときに時間がかかることがあります。私の経験では、袖を通す場面は着替え介助の中でも難しいと感じることが多くありました。

拘縮がある方や腕が動かしにくい方の場合、袖口が細いと、皮膚に引っかかりやすくなることもあります。皮膚が弱い方は、少しの刺激でも皮膚めくれや傷につながることがあるので、袖口にゆとりがあるかどうかは大切です。

また、身幅にもある程度のゆとりがあると、着替えやすくなります。ただし、大きければ大きいほど良いわけではありません。その人の身体に合ったゆとりがあるかを見ることが大切だと思います。

大きすぎてシワにならないかも見る

介護しやすい服には、ゆとりがあることも大切です。ただ、サイズが大きすぎると、余った布がシワやよれになりやすいことがあります。

寝たきりの方は、自分で服のシワを伸ばすことが難しい場合があります。背中や腰、お尻、脇などにシワが当たり続けると、違和感や苦痛につながることがあります。皮膚が弱い方の場合、シワが当たり続けることで赤みや傷につながることもあります。

そのため、服を選ぶときは、ゆとりがありながらも大きすぎないかを確認してほしいです。「ゆったりしている」と「大きすぎる」は少し違います。本人の身体に合ったサイズかどうかを見ることが大切です。

ボタンや留め具が扱いやすいか確認する

前開きの服を選ぶときは、ボタンや留め具の扱いやすさも確認してほしいです。

ボタンが小さい服は、着替え介助のときに外しづらかったり、とめづらかったりすることがあります。私が勤めていたところでは、着替えなどのケアをするときは基本的に手袋をしていました。そのため、小さいボタンは介助のときに意外と苦戦することがありました。

大きめのボタンや、扱いやすいスナップ、マジックテープなどは、介助しやすいと感じることがあります。ただし、マジックテープは便利な一方で、使っているうちにだんだんくっつきが弱くなっていくことがあります。くっつきが弱くなると、着ている間に外れやすくなり、マジックテープの部分が肌に直接当たってしまうこともありました。私が介助していた方の中には、「ちくちくして痛い」とおっしゃる方もいて、マジックテープよりもスナップやボタンの方が長く使いやすいと感じることもありました。

どの留め具が良いかは、本人の身体の状態や服の使い方によって変わります。買う前に、留め具が扱いやすいかどうかも見てもらえると安心です。

洗濯しやすく、乾きやすいかも大切

介護しやすい服を選ぶときは、洗濯しやすいかどうかも大切です。

寝たきりの方の場合、汗をかいたり、食事や排泄で服が汚れたりすることがあります。汚れやすい方の場合は、洗い替えが必要になることもあります。そのため、洗濯しやすく、乾きやすい服はご家族にとっても扱いやすいと思います。

生地が厚すぎる服は乾きにくいことがあります。また、洗濯をくり返すことで型崩れしやすい服や、乾きにくい服は、日々の管理が負担になることもあります。介護しやすい服は、着替えやすさだけでなく、洗濯や管理のしやすさも考えて選ぶと良いと思います。

迷ったら買う前に相談してほしい

介護しやすい服を選ぶとき、どれを買えば良いのか迷うこともあると思います。そのようなときは、買う前に施設や病院の職員に相談してみてほしいです。

本人の身体の状態をよく知っている人に相談すると、どんな服が合いやすいのかイメージしやすくなります。実物の見本があれば、見せてもらうのも良いと思います。生地のやわらかさや袖口の広さ、前開きの形などは、言葉だけでは伝わりにくいことがあります。実際に見たり触ったりすると、選ぶときの参考になります。

買ってから「使いにくかった」となると、ご家族にとっても負担になります。だからこそ、迷ったときは買う前に相談してから選ぶと安心です。

まとめ|買う前に確認すると、本人と家族の負担を減らしやすい

介護しやすい服を選ぶときは、買う前にいくつか確認しておくと安心です。

本人の今の身体の状態に合っているか。前開きかどうか。生地がやわらかく、伸縮性があるか。袖口や身幅にゆとりがあるか。大きすぎてシワにならないか。ボタンや留め具が扱いやすいか。洗濯しやすく、乾きやすいか。

こうしたポイントを見ておくことで、着替えの負担を少なくしやすくなると思います。

介護しやすい服は、介助する側のためだけの服ではありません。本人の痛みや寒さ、皮膚への負担を少なくするための服でもあります。

この記事が、介護しやすい服を買う前のひとつの参考になれば嬉しいです。

「介護しやすい服」シリーズ
第14回 元介護士が伝える、介護しやすい服を買う前の確認ポイント

「介護しやすい服」シリーズ

第1回:元介護士だった私が「介護しやすい服」について書こうと思った理由

第2回:元介護士が感じた「伸縮性のある服」が大切な理由

第3回:元介護士が感じた「前開きの服」がおすすめな理由

第4回:元介護士が感じた「ゆとりのある服」がおすすめな理由

第5回:元介護士が感じた「頭からかぶる服」が難しい理由

第6回:元介護士が感じた、着替え介助で大切な「袖の通しやすさ」

第7回:元介護士だった私が「皮膚めくれ」で感じたこと

第8回:元介護士が感じた「服のシワ」が気になる理由

第9回:元介護士が感じた「保湿」が大切な理由

第10回:元介護士が感じた「一人ひとり似合う服は違う」ということ

第11回 : 元介護士が伝える、体の状態が変わったときに服の変更をお願いしていた理由

第12回 : 元介護士が伝える、介護しやすい服選びで一番伝えたいこと

第13回:元介護士が伝える、介護しやすい服は介護用品じゃないとダメ?

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