元介護士が伝える、体の状態が変わったときに服の変更をお願いしていた理由

介護職から見た服選び

決められた病衣がない施設や病院では、ご家族に衣類を持ってきてもらう必要があります。ご家族が本人さんのために選んでくれた服を、普段から着てもらっていることも多いです。

ただ、体の状態が変わったり、健康状態に変化が出てくると、今まで着られていた服が着られなくなることがあります。そういうときは、ご家族へ説明したうえで、今の体の状態に合った服をお願いすることがありました。

身体の状態が変わると、今までの服が着替えにくくなることがある

高齢者の方は、病気などがきっかけで、ある日から急に体が動かしにくくなることがあります。

それまで自分で着替えていた方も、体の状態が変わったことで着替えに介助が必要になることは少なくありません。その状態が長く続くと、関節が動きにくくなったり(拘縮といいます)、力が入りにくい状態が続いたりして、着替える服にも影響が出てきます。

服が合わないと、着替えの負担や皮膚への負担につながることがある

もし、体が動かない状態のまま、自分で着替えていたころの服を使い続けたら、どんなことが起きるのでしょうか。

力が入りにくい状態の方は、着替えの際に膝を立てたり、腕に力を入れたりすることが難しいため、着替えの介助と並行して体を支える必要があります。拘縮がある方は、体を動かすこと自体に痛みが出やすく、関節が動きにくいぶん、骨折させないよう慎重に介助をする必要があります。

どちらの場合も、皮膚がめくれてしまうことにも注意が必要です。着替えに時間がかかることで、本人さんの痛みや傷、寒さといった負担が大きくなってしまうこともありました。

ご家族へお願いするときに気をつけていたこと

私が勤めていたところでは、ご家族へ服の変更をお願いするとき、いくつか気をつけていたことがあります。

まず、体の状態がどんなふうに変化したのか、できるだけわかりやすく説明するようにしていました。見本になる実物を見てもらい、生地のやわらかさや伸縮性なども実際に触ってもらいながらお伝えしていました。

必ずしも介護用品でなくても良いことも、あわせて伝えていました。介護用品は値段が高価なことが多いので、市販のもので同じような条件(前開き・伸縮性など)を満たすものがあれば、それで代用できることも説明していました。

迷ったときは、その場で買わずに、また相談してもらってから決めてもらって大丈夫だということもお伝えしていました。お金を払うのはご家族なので、納得したうえで選んでもらいたいと思っていたからです。

服の変更をお願いするのは、本人の負担を少なくするため

ご家族からすれば、せっかく用意したものを使ってほしいという気持ちがあると思います。その気持ちは、私自身もよく理解できます。

ただ、介助する側としては、本人さんの苦痛や負担を少しでも減らしたいと考えて介助している人が多いです。体の状態の変化は、誰にでも起こりうることです。もし自分の体が動かなくなったとき、痛みや傷ができやすい服のまま着替えをしてほしいかどうか、少し想像してみてもらえたらと思います。

まとめ|服の変更をお願いすることにも理由がある

服の変更をお願いするのには、「今の体の状態に合わなくなった」「本人さんの負担を少しでも減らしたい」という理由があります。

そのために、ご家族へはできるだけ今の本人さんの状態をわかりやすく伝え、その状態に合う服がどんなものか、見本を見たり触ったりしてもらいながら説明することが、ご家族の理解や納得感につながると感じています。

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