元介護士が伝える、介護しやすい服選びで一番伝えたいこと

元介護士から見た服選び

これまでの記事では、介護しやすい服について、私が元介護士として感じてきたことを書いてきました。

伸縮性のある服、前開きの服、ゆとりのある服、袖の通しやすさ。皮膚めくれや服のシワ、保湿、ご家族へ服の変更をお願いしていた理由についてもまとめてきました。

ここまで書いてきて、私が一番伝えたいことがあります。

介護しやすい服は、介助する側がラクをするためだけの服ではないということです。本人の痛みや寒さ、皮膚への負担を少しでも少なくするためにも、服選びは大切だと感じています。

今回は、介護しやすい服選びで私が一番伝えたいことについてまとめます。

介護しやすい服は、介助者だけのためではない

「介護しやすい服」と聞くと、介助者がラクになる服という印象を持つ方もいるかもしれません。それも半分は合っていると思います。介助しやすい服は、着替えの介助をする側にとっても助かる服です。

でも、「介護しやすい服」は、介護される本人の負担が少ない服という意味も持っています。

私が勤めていたところでは、寝たきりの方の着替え介助は、スムーズにできても1人に10分ほどかかることがありました。皮膚が弱い方、骨折しやすい方、全身状態が悪い方の着替えでは、特に慎重に介助を行う必要があるので、もっと時間がかかることもあります。

着替えの時間が長くなると、本人の負担も大きくなりやすいです。痛みが出たり、寒さを感じたり、皮膚に負担がかかったりすることもあります。

だからこそ、介護しやすい服は、介助者だけのための服ではなく、介護される本人の負担を少なくするための服でもあると感じています。

着替えやすい服は、本人の苦痛を少なくすることにつながる

寝たきりの方にとって、着替えは負担の大きい動作のひとつです。自分で身体を動かせない方の場合、腕を通す、身体の向きを変える、服を整えるという動作にも、ひとつひとつ介助が必要になります。

その中で、前開き、伸縮性、ゆとり、袖口の広さなど、着替えやすい服を取り入れることは、本人の身体の苦痛や負担を少なくすることにつながると思います。

前開きの服は、頭からかぶる服に比べて身体への負担が少なく、伸縮性のある服は、生地が伸びる分、腕や身体を無理に動かさずに着替えやすくなります。ゆとりのある服や袖口が広めの服は、袖を通すときの引っかかりを少なくしやすいです。

本人の負担を減らすことは、皮膚めくれや骨折のリスクを減らすことにもつながります。介助する側が着替えやすい服は、結果的に本人の身体を守ることにもつながっていると感じています。

服選びで大切なのは、その人の今の身体に合っていること

寝たきりの方の服を選ぶときは、今の身体の状態に合った服を選ぶことが大切です。

自分で服を選んだり、着心地を細かく伝えたりすることが難しい方も多いからこそ、服を選ぶ側が、その人の身体の状態を見ながら選ぶことが大切になります。

身体のどこが、どのくらい動かしにくいのか。動かすと痛みがあるのか。骨が弱くなっていないか。皮膚が弱くなっていないか。汗をかきやすい方なのか、寒がりなのか。服を選ぶときに見るポイントは、一人ひとり違います。

私の経験では、寝たきりの方は骨や皮膚が弱くなっている方も多く、服を選ぶときにも慎重に考える必要がありました。以前は問題なく着られていた服でも、今の身体の状態には合わなくなっていることがあります。

そのため、服選びでは「今の本人に合っているか」を見ることが大切だと思います。

ご家族に伝えたいこと

急に「身体の状態が変わったので、今の服を変更してほしい」と言われたら、ご家族は戸惑うこともあると思います。本人の状態が変わったことを受け止めるだけでも、気持ちがいっぱいになることがあるからです。

そのような中で服の変更をお願いされると、困惑する気持ちが先にくることもあるかもしれません。ご家族にとっては、寝たきりの方の服選びについて、基本的な選び方の情報は見つかっても、実際の現場でどう考えて対応していたかまでは、なかなか知る機会がないと思います。

だからこそ、「介護しやすい服」を選ぶときは、ひとりで悩まずに相談してほしいです。本人の身体の状態や日々の様子をよく知っているご家族。施設や病院で介助している介護職員や医療関係者。そうした人たちに相談しながら、本人の負担が少ない服を考えていくことが大切だと思います。

言葉だけでは伝わりにくいこともあります。そんなときは、見本になる服を見せてもらったり、実際に生地を触らせてもらったりすると、イメージしやすくなります。

高価な介護用品でなければいけないわけではなく、市販の服でも代用できることがあります。迷ったときは、買う前に相談してもらえると安心です。

まとめ|介護しやすい服は、本人を守るための服でもある

「介護しやすい服」は、介助者目線の言葉に聞こえるかもしれません。でも、介助者のためだけの服ではありません。本人の痛みや寒さ、皮膚への負担を少なくするための服でもあります。

寝たきりの方の着替えは、思っている以上に本人への負担が大きいことがあります。だからこそ、前開き、伸縮性、ゆとり、袖の通しやすさ、シワの整えやすさなど、少しでも負担を減らせる服選びが大切だと感じています。

服選びに絶対の正解はないと思います。その人の今の身体の状態に合っているか。本人の苦痛や負担を少なくできるか。その視点で考えることが大切だと思います。

私が元介護士として経験してきたことが、介護しやすい服を選ぶときのひとつの参考になったら嬉しいです。

「介護しやすい服」シリーズ
第12回 元介護士が伝える、介護しやすい服選びで一番伝えたいこと

「介護しやすい服」シリーズ
第1回:元介護士だった私が「介護しやすい服」について書こうと思った理由

第2回:元介護士が感じた「伸縮性のある服」が大切な理由

第3回:元介護士が感じた「前開きの服」がおすすめな理由

第4回:元介護士が感じた「ゆとりのある服」がおすすめな理由

第5回:元介護士が感じた「頭からかぶる服」が難しい理由

第6回:元介護士が感じた、着替え介助で大切な「袖の通しやすさ」

第7回:元介護士だった私が「皮膚めくれ」で感じたこと

第8回:元介護士が感じた「服のシワ」が気になる理由

第9回:元介護士が感じた「保湿」が大切な理由

第10回:元介護士が感じた「一人ひとり似合う服は違う」ということ

第11回 : 元介護士が伝える、体の状態が変わったときに服の変更をお願いしていた理由

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