私は療養型病院で介護福祉士として20年以上働き、おもに寝たきりの方の介護をしてきました。
その中で、着替え介助をするときに「伸縮性のある服は大切だな」と感じる場面が何度もありました。
なぜ伸縮性のある服が大切なのか
寝たきりの方は、自分で身体を動かすことが難しく、時間の経過とともに関節が硬くなる「拘縮」がみられることがあります。
病気によっては反対に、身体に力が入りにくい「弛緩」の状態になる方もいます。
このような身体の状態では、着替えだけでも痛みを感じる方もいらっしゃいます。
衣類に伸縮性があると、伸縮性の少ない衣類に比べて、腕や肩を通すときの動きに少し余裕ができます。
そのため、介護を受ける方の痛みや負担を少しでも減らすことにつながるのではないかと、私は現場で感じてきました。
また、介助する側にとっても、伸縮性のある服は着替え介助がしやすく、身体を無理に動かしすぎないための助けになることがありました。
着替え介助では何が起きるのか
寝たきりの方の中には、痛みを感じても言葉で伝えられなかったり、声を出せなかったりする方もいらっしゃいます。
そのため、着替え介助では、表情や身体の動き、力の入り方などを見ながら進めることが大切になります。
着替え介助は、介助者2人で行うことも多くあります。
一人が身体を支え、もう一人が衣類を着替えさせながら、ご本人に痛みや寒さができるだけ少なくなるように注意して進めます。
着替えの動作は、どうしても身体を動かす場面が多くなります。
だからこそ、できるだけ負担を少なく、そして手早く行うことが必要になります。
その中でも私が特に難しいと感じていたのが、袖を通す場面です。
私が現場で感じたこと
実際の現場では、着替えをするだけで皮膚がめくれてしまうことがありました。
高齢になると皮膚が薄くなったり乾燥しやすくなったりするため、衣類だけが原因ではなく、さまざまな要因が重なって皮膚めくれが起こることがあります。
だからこそ私たちも、できるだけ皮膚に負担をかけないように着替え介助を行っていました。
特に袖を通すときは、着替え介助に時間がかかりやすく、皮膚めくれが起きやすい場面だと私は感じていました。
皮膚めくれだけでなく、骨折につながってしまったケースを目にしたこともあります。
私自身も、着替え介助の中で皮膚めくれを起こしてしまった経験があります。
そのときは、身体を傷つけてしまったことに、とても申し訳ない気持ちになりました。
もちろん、どれだけ注意していても、皮膚めくれや骨折を完全に防ぐことは難しい場合があります。
やわらかく伸縮性のある服を選んだからといって、絶対に安全というわけではありません。
それでも私は、20年以上介護の現場で働く中で、服選びはとても大切だと感じてきました。
服選びのポイントとして「伸縮性」も見てほしい
介護が必要な方の服を選ぶとき、肌ざわりや洗いやすさ、着心地なども大切だと思います。
それに加えて、私は「伸縮性」も見てもらえると嬉しいなと思っています。
伸縮性のある服は、介助する人だけでなく、介護を受ける方の負担を少しでも減らす助けになることがあります。
服は毎日着るものだからこそ、ご本人にも介助する人にも、少しでも負担が少ないものを選べたらいいなと思っています。
「これが正解」という話ではありません。
身体の状態や生活環境、ご本人やご家族の考え方によって、合う服はそれぞれ違います。
そのうえで、介護が必要な方の服選びに迷ったとき、伸縮性も一つのポイントとして考えてもらえたら嬉しいです。
「介護しやすい服」シリーズ
第2回:介護職が感じた「伸縮性のある服」が大切な理由
シリーズはこちら
第1回:介護しやすい服について書こうと思った理由

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