族さんが面会に持ってきてくれる、もこもこのパジャマや羽毛布団。
「寒いだろうから」という気持ちが本当に伝わってきて、私が勤めていたところでは、ああいう差し入れを見るたびに、家族さんの愛情ってあったかいなと思っていました。
ただ介助する側の本音を言うと、もこもこしすぎている服は、正直ちょっと大変なことが多かったです。
もこもこすぎると起きること
体位変換(体の向きを変える)のときや、ベッドから車椅子へ移乗(乗り移る)介助のときに、生地が分厚いと手が滑ってしまうんですよね。
ちょうど持ちたいところが布の中に埋もれてしまって、力の入れどころが定まらない感じです。
移乗介助のときって、介助する側の踏ん張りと、ちょっとした一瞬のタイミングが大事なので、生地一枚でも滑りやすさが変わると、思った以上に苦戦します。
洗濯のことも気になっていました。
厚手の生地は家族さんが自宅で洗うにも大変ですし、乾きにくい。特に冬は部屋干しの期間も長くなるので、なかなか乾かなくて困っている、という声も聞いたことがあります。
そしてこれは意外と知られていないかもしれませんが、冬でも汗をかきやすい方は普通にいらっしゃいます。
厚着にしてしまうと、今度は汗で体が冷えてしまったり、蒸れて肌トラブルにつながったりすることもありました。
私が勤めていたところでは
家族さんの気持ちが強いお宅は、もこもこのパジャマでも羽毛布団でも、着る毛布でも、基本的には受け入れていました。
家族さんの思いを否定したくなかったからです。
ただ、汗をかきやすい方については、そのまま説明させてもらって、家族さんが面会に来られるときだけ着せる、という形で調整させてもらうこともありました。
家族さんとしてはずっと使ってほしい気持ちがあると思うので心苦しいところもあるのですが、本人さんの負担を考えると、そのあたりは介助する側からお伝えするようにしていました。
寝たきりの方だから特別な服、というわけでもなく、前開きのパジャマや浴衣を着ていただくことが多かったです。
起きられる方も同じく前開きのパジャマが中心で、着替え介助のしやすさはどちらも共通していました。
ケア寝巻き(いわゆる介護用の寝巻き)は、実は介護用品としてはそこそこ高価で、1着5000円以上することも珍しくありませんでした。
なので、終末期の方や皮膚が弱く負担をかけられない方など、必要性の高い方に優先的に貸し出して使う、という位置づけでした。
前開きで伸縮性のある生地というのは、どの服にも共通していました。
空調が効いている環境で、冬用の布団も支給されていたので、厚みはほどほどで十分なことがほとんどでした。
それでも、循環不良などで手足が冷たくなりやすい方には、電気毛布や靴下などで個別に温かさを足すようにお願いしていました。
厚着で全体を覆うのではなく、冷えやすい部分にピンポイントで対応する、という考え方です。
「これが正解」というより
これはあくまで私が勤めていた場所での話で、施設や病院によって対応は違うと思います。
ただ、家族さんの「あったかくしてあげたい」という気持ちと、介助のしやすさや本人さんの体感は、ときどきすれ違ってしまうことがあるんだなと感じています。
もし今、もこもこの差し入れをどうしようか迷っている方がいたら、「厚みを一段階減らしてみる」「前開きにしてみる」くらいの小さな調整から始めてみると、介助もラクになるし、本人さんも過ごしやすくなるかもしれません。
季節による服選びについてはこちらの記事に書いています。

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