介護で着替えを嫌がる理由は?|元介護士が現場でしていた声かけの工夫

着替えを嫌がる方のために用意した、畳んだ衣類 元介護士から見た服選び

「着替えようと言っても、どうしても嫌がる」。在宅で介護をしていると、そんな場面に出会うことがあります。早くきれいにしてあげたいのに拒まれると、どうしていいか分からなくなりますよね。

私は病院で20年以上、ベッドで過ごすことの多い方や拘縮の強い方の着替え・入浴介助をしてきました。その中で感じたのは、着替えやお風呂を嫌がる方には、汚れている方が多い、ということです。

汚れているから嫌、とは、なかなか言い出しにくいものです。恥ずかしさや、知られたくない気持ちが、「嫌」という態度になって表れているのかもしれません。わがままではないと思えるだけで、少し気持ちが楽になるかもしれません。

着替えを嫌がる理由は、汚れだけではありません

現場で出会った方には、痛みや怖さがある方、単純にお風呂が苦手な方、寒いのが嫌な方、待たされるのが苦手な方もいました。理由はひとつではなく、その方によって違います。

着替えを嫌がる方に、現場でしていた声かけ

まず、無理に進めません。少し時間を空けて、別のスタッフが声をかけていました。

お風呂に誘うときも、「お風呂に行きましょう」とは言わず、「食堂に行きましょうか」「今日はこっちを通りましょうか」と話しながら、お風呂のほうへ向かっていました。

それでも嫌がるときは、「じゃあ、着替えだけしちゃいましょう」と伝えます。全部をきれいにすることは目指さず、洗えるところだけ洗って、着替えをしてもらっていました。

一人で介助しないでください

着替えを嫌がる場面は、一人で対応しないことがとても大切です。特に認知力の低下がある方は、嫌がる気持ちが強いと、抵抗や、手が出てしまうこともあります。そうなると、介護される方も、介助する方も、怪我や転倒の危険があります。

現場でも、必ず他のスタッフと一緒に関わっていました。ご家庭でも、できるだけ他のご家族と一緒に関わってください。お互いの安全を守ることが、いちばんの前提です。

ご家族ができること

  • 嫌がったら、いったん引いて、時間を空ける
  • 声をかける人や、声のかけ方を変えてみる(他のご家族に代わってもらうのもひとつです)
  • 「全部やる」ではなく、「着替えだけ」「ここだけ」と目的を小さくする

早くきれいにしてあげたい気持ちは、とても自然なものです。でも、まずはご本人の気持ちと、お互いの安全を優先してあげてください。

服の工夫もひとつの助けに

嫌がる方の着替えは、体への負担が少ない服かどうかも大切です。前開きの服なら、袖を通す動きが少なく、ご本人にも介助する方にも負担が軽くなります。詳しくは「ベッドで過ごす方の服選び、迷っていませんか?前開きの服がおすすめな理由」でお伝えしています。

※ここは、私の現場経験にもとづく方法です。ご本人の状態(認知症の有無など)や環境によって、合う・合わないがあります。うまくいかないときや、介助が難しいときは、担当の看護師さん、ケアマネジャーさん、介護職の方に相談してみてくださいね。

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