老健と病院の違いに戸惑って出戻り転職。私の介護の「軸」が見つかるまで

老健と病院の違いに戸惑って出戻り転職で見つけた、私の介護の「軸」 介護福祉士のリアル体験談

「他の職場って、どんな感じなんだろう?」

転職のきっかけ

老健への転職は、そんな小さな好奇心がきっかけでした。ずっと病院で働いてきて、慣れるほどに良いところより気になるところが目につくようになり、少し疲れてもいたのだと思います。その年に転職するスタッフが多かったことも、背中を押しました。

ただ、正直に言うと準備不足でした。事前に働いている人の話を聞くこともなく、「行けば何とかなる」くらいの気持ちで飛び込んでしまったのです。

老健で戸惑ったこと

私が転職した老健で、働いてみて戸惑ったことがいくつかあります。

一つ目は衛生面です。手袋は支給制となっていて、支給数にも限りがありました。足りない分は自費で用意することもありました。一行程一手袋が当たり前だった環境から来た私には、これがいちばん不安で、退職を考える最大の理由になりました。

二つ目は排泄ケアです。おむつよりも、布パンツにパッドが基本でした。介助が必要であっても座れる方であれば、食事の前後に必ずトイレへお連れしていました。とても大切な考え方だと思う一方で、体格の大きな方の介助では、自分の技術や体力の足りなさを痛感する場面もありました。

三つ目は夜勤です。二交代制であることは分かっていたのですが、実際に働いてみると、三交代制の頃と比べて拘束時間がとても長く、だんだんと続けていくことが厳しく感じました。

そして、食事介助でも違和感がありました。口を開けない方にも流れるように食事を運ぶ場面を見て、「この方は、本当に食べたいのかな」と心にひっかかったのです。私は、高齢の方は食べたくない日もあって当然だと思っています。口を開けないことが続くようであれば、食べたくない意思と捉えるタイプです。「全部食べてもらうもの」という空気とは、なかなか折り合いがつきませんでした。

半年で区切りをつけて、病院へ

とはいえ、職場の人間関係にはとても恵まれました。だからこそ、半年は続けようと決めて働き、区切りの時期に退職しました。病院に戻りたいと伝えると、すんなり受け入れてもらえて、間を空けずに復職できたのは本当にありがたかったです。

病院に戻って見つけた、私の軸

戻ってみて、まず感じたのは衛生面の安心感でした。また、おむつ対応の方であっても、トイレ誘導を試せるのではないかと感じる場面もありました。病院にも「何とか食べてほしい」と頑張るスタッフはいます。でも私は、この頃から「本人がいらないならその気持ちを受け止める」と自分で決めて、実行するようになりました。

外に出て、他の現場を見たことで、自分のやっていることを客観的に見られたのだと思います。転職先は元の職場ではなかったけれど、「本人の意思を尊重する」「こちらの気持ちを押しつけないケア」という自分なりの軸が見つかりました。

転職を考えている方へ

私の経験から、お伝えできることは三つです。

①リサーチはしっかりと。できれば実際に働いている方に話を聞くのが、いちばん早いと思います。

②転職しないと見えないものがある。自分が大事にしているものが、なんとなくでも見えてきます。

③転職は失敗ではありません。合う職場は、実際に働いてみないと分からないものです。

もし今、迷っている方がいたら、うまくいくかどうかより「自分は何を大切にしたいのか」を見つけるつもりで、一歩を考えてみてくださいね。

※ この記事は、私個人の体験にもとづくものです。すべての老健(介護老人保健施設)が、この記事に出てくる老健と同じとは限りません。

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