介護での腰痛、予防できたのかも|元介護士の体験談

腰を押さえている 元介護士のリアル体験談

介護の腰痛、予防できなかった後悔

私が介護福祉士として働き始めた頃は、情報も少なく、今のようなOJT(教育担当がつく仕組み)もありませんでした。誰かに教わるというより、先輩の動きを見よう見まねで覚えるしかない時代です。

少しでも周りに迷惑をかけたくない一心で、がむしゃらに体を動かし続けてきました。その結果が、今の腰痛です。

車椅子を押しながら歩いている

腰痛がきっかけで現場を離れることになった今、一番悔やまれるのは「予防できる方法があったのに、知ろうとしなかったこと」です。腰痛は、介護福祉士としての仕事を続けられなくなるだけでなく、日常生活のあらゆる場面についてまわる、いわば時限爆弾のような存在です。

腰痛を経験してから知った「ボディメカニクス」

腰痛を経験してから、勉強会で「ボディメカニクス」という考え方を知りました。関節や筋肉の使い方を工夫することで、体への負担を減らしながら介助ができる、というものです。詳しい理論はこちらの解説記事にわかりやすくまとまっているので、気になる方はあわせてご覧ください。

腰を押さえている

私自身が実際に取り入れて、少し楽になったと感じたのは、こんなことでした。

  • ベッドの高さを自分の腰の高さに合わせる
  • 足は肩幅くらいに開き、腰を落として膝を曲げた姿勢を基本にする
  • 体を一気に動かすのではなく、部分部分をずらしてから体位を変える
  • 相手の体を自分の腕全体で受け止め、体に引き寄せてから移動させる
  • 体位変換のときは、相手の膝を立てて、倒したい方向に少し倒す

ただ、これらを取り入れたのは、すでに腰を痛めてからのことでした。振り返ってみると、勉強会で聞いた「ボディメカニクス」という考え方を、もっと早く、まだ腰が元気なうちに知って実践していれば、痛める前に防げたかもしれません。

知ってからは負担が減ったと感じていたからこそ、余計に「なぜもっと早く」という気持ちが残っています。

一人で抱え込まないことも予防になる

もう2つ、今なら「こうしておけば良かった」と思うことがあります。

「ヘルプ」と書いてある旗

1人でやらない

業務上、1人で対応しなければならない場面もあります。それでも、腰痛を予防するという意味では、できる限り1人で抱え込まないことをお勧めします。私自身、「迷惑をかけたくない」という思いから1人でやってしまっていたことが、腰痛を招いた原因のひとつだったと感じています。

無理をしない

これは1人でやらないことにも繋がりますが、「これは自分には重いかもしれない」と感じたら、遠慮せず誰かに代わってもらってください。それは逃げでも怠けでもなく、単純に体力的な限界の問題です。私は「いけるだろう」「私がやらなきゃ」という変な自信があり、無理を重ねてしまったことも、腰痛の一因だったと思います。

どちらにも共通して言えるのは、「助けて」と誰かを頼る姿勢こそが、腰痛を防ぐために欠かせないということです。冒頭で書いた「迷惑をかけたくない」という気持ちが、巡り巡って自分の体を追い詰めていた。これが、今振り返って一番伝えたいことかもしれません。

まとめ

積み上げられ積み上げられた本

腰痛は、なってから向き合うのではなく、なる前に向き合ってほしい問題です。私自身、痛めてから知ったことばかりでしたが、もっと早く知っていれば、と今でも思います。

もし今、体の使い方に不安を感じながら介護をしている方がいたら、一人で抱え込まず、少しでも早く「防ぐ」ことを意識してみてください。それが、今の私からのいちばんの願いです。

私自身が実践して楽になったと感じたポイントを、上記でいくつかご紹介しましたが、実際にどう体を動かせばいいのか、具体的にイメージしづらい部分もあったかもしれません。

次回は、在宅で介護をされているご家族向けに、体位変換や起き上がり、移乗、着替えなど、実際の場面ごとの体の動かし方を、元介護士の経験を交えて詳しくご紹介する予定です。

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